毎年川越まつりが終わった次の日になると胸にぽっかり穴があく。
まだ片付けられていない軒揃えの中、うずたかく積まれたゴミ置き場のゴミを横目に出勤の途につくのが毎年恒例だった。
川越まつりだったはずの日
本来であれば川越まつりであった10月3週目の週末。
2020年の川越まつりはなかった。
この週末は祭りが終わった時のような胸にぽっかりと穴が空いたノスタルジックな気持ちで迎えた。
しとしとと雨が降りしきる土曜日。
昨年もたしか祭りの日の土曜日は雨の予報だった(結局ほとんど降らなかったが)
雨の中、少しでも祭りの雰囲気を味わいたくて傘をさして向かった先は『川越まつり会館』
並ぶのは猩猩の山車と小狐丸の山車。
ぼんやりと山車を眺めて祭りに思いをはせる。
お祭りだったはずの日であったからか、まつり会館の中はいつもより多くの人の姿が見られる。
係員の方の説明も気のせいだろうかいつもよりも少し熱がこもっているように感じられた。
一番街をあとにし、日が暮れた頃
遠くから小さくお囃子の音が聞こえてきた。
急いでそちらに向かってみるとそこにはアマビエ様を乗せた四番叟の山車。
四番叟の山車とは、三番叟の山車が出ない年の川越まつりのときに登場する六軒町の小さな山車。
町内を曳き回しながらゴミ拾いなどをする表舞台には出てこない小さな山車だ。
期せずして四番叟の山車は祭りの空気を運んできてくれた。
そして日曜日、天気は晴れときどき曇り。
向かったのは川越氷川神社。
川越まつりはここ川越氷川神社の例大祭が起源となっている。
本年の氷川神社の例大祭は神社関係者のみでおこなわれ、川越氷川祭礼(川越まつり)中止の奉告が行われた。
この日、川越氷川神社の舞殿ではお囃子が実演されていた。
そして後ろの大鳥居の方を振り返ると
昨日見かけたアマビエ様をのせた四番叟の山車がやってきていた。
四番叟の山車を見た親子連れの子供たちの笑顔が印象的だった。
今日見る四番叟の山車は例年見る華々しい絢爛豪華な数々の山車に負けず劣らず輝いて見えた。
川越氷川神社と川越駅の自由通路には川越のすべての山車のポスターが飾られている。
どのポスターにも「越えていこう、川越」のフレーズが刻まれている。
今はこの山車たちは、山車蔵の中でその時が来るのを待っているはずだ。
祭りはなかったが川越の街の鼓動の高まりを感じられた2日間だった。
祭りの時期が過ぎると寒さが一段と増し、あっという間に冬が訪れる。
来年の川越まつり開催を願ってやまない、そんなノスタルジックな秋の週末。
「川越まつりだったはずの日」
来年の話をして鬼に笑われたら困るので「鬼滅の刃」でも見に行ってこよっと。