春はしだれ桜、秋は紅葉の絶景が広がる中院。
中院は、喜多院の南側に位置します。
正式には天台宗別格本山中院といい、山号は星野山。寺号は無量寿寺。
中院|閑静なたたずまいの歴史ある寺院
中院は、正式には天台宗別格本山中院といい、天長七年に慈覚大師によって創立。
星野山無量寿寺仏地院と呼ばれていました。
無量寿寺は北院、中院、南院の三院が建立され、それぞれに仏蔵院、仏地院、多聞院と称していました。北院は喜多院なり、南院の多聞院は現在は廃院となっています。
喜多院の住職に天海大僧正がつくまでは、中院が無量寿寺の中心となっていました。
中院は、寛永15年の川越大火により焼失し、翌、寛永16年に現在地へと移りました。
その後、享保18年に本堂が再建。
昭和61年に比叡山延暦寺西塔の釈迦堂を模した古い天台様式の「釈迦堂」が建立、平成24年に「薬師堂」が復興され、中院本来の本堂、釈迦堂、薬師堂の三堂が揃いました。
中院の境内を歩いて見ました
山門をくぐり、本堂へと続く参道の両脇は木々が生い茂り、右側は見事な庭園となっています。
左手には大きな「しだれ桜」があり、春先には見事に花を咲かせ、桜の隠れた名所となっています。
境内の中にはモミジも生い茂り、秋には真っ赤に色づき見事な紅葉の景色を楽しむことができます。
木々のトンネルをぬけた正面が本堂です。
中院の境内は、四季折々の表情を楽しむことができます。
中院は島崎藤村ゆかりの地
中院は島崎藤村ゆかりの地としても知られています。
島崎藤村の妻、加藤静子は川越の出身であり、静子の母、加藤みきは、藤村の茶道の師匠でした。
島崎藤村が静子と再婚したのは「夜明け前」を執筆していた時期と重なり、川越の佐久間旅館の一室で「夜明け前」を完成させました。
「夜明け前」には川越がよく登場します。
藤村は、静子の母みきを「川越の老母」と呼んで敬愛しており、藤村がみきに贈った茶室「不染亭」が中院にあります。
また、中院には加藤みきの墓もあり、墓石の文字は藤村の自筆であるといわれています。
河越茶・狭山茶発祥の地
中院は、河越茶・狭山茶発祥の地としても有名です。
河越茶・狭山茶は、慈覚大師円仁が中院開山時に京都から茶の実を携え、中院の境内で茶の栽培をしたのが始まりです。
その後、川越藩領の狭山丘陵で茶の栽培が広く栽培されることになります。
狭山茶は元は「河越茶」と呼ばれ、以前は中院の境内にも茶畑があったそうです。
中院の御朱印
現在、中院での御朱印の記帳は受け付けていません。
中院までのアクセス
[中院]
住所 埼玉県川越市小仙波町5-15-1
アクセス
【徒歩で】
・JR埼京線/東武東上線「川越駅」から徒歩20分
・東武東上線「川越市駅」から徒歩18分
・西武新宿線「本川越駅」から徒歩約12分
【バス利用】
・小江戸巡回バス「中院」下車、徒歩0分