国の文化審議会は、5月17日、「旧山崎家別邸」1棟を国の重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申しました。
後日行われる官報告示を経て国の重要文化財に指定されます。
令和元年9月30日、旧山崎家別邸が国の重要文化財に指定されました。
旧山崎家別邸は仲町の交差点から3分ほど。一番街の一本東の道路に面しています。
旧山崎家別邸
旧山崎家別邸は、平成12年に主屋・茶室・腰掛待合が川越市の指定文化財に指定され、
平成18年に建物部分が市へ寄贈されました。
平成23年には、庭園が「旧山崎氏別邸庭園」として国登録記念物名勝地となりました。
旧山崎家別邸は、老舗菓子店「亀屋」の五代目嘉七の住まいとして大正14年に建てられました。
設計は丸の内の事務所街の建設を手がけた、建築家の保岡勝也によるものです。
当時の設計図書や資料が多く残されていることから、文化財的価値が高く評価されました。
保岡勝也は、大正七年、当時第八十五銀行の副頭取であった山崎嘉七の依頼で川越一番街のランドマークともいえる旧第八十五銀行(現・埼玉りそな銀行川越支店)の設計も手がけています。
建物は、1階の玄関廻りが洋風、その奥が和風の造りとなっており、2階も洋風の寝室、書斎にくわえ、和室もある和洋折衷のつくりとなっています。
各部屋の動線は効率的に設置され和洋の調和が図られています。
また、採光と通気などの住環境にも配慮された設計となっています。
ところどころに設置されているステンドグラスはアールヌーヴォーの従来の様式に囚われない花や鳥の装飾が施されています。
旧山崎家別邸 2階が期間限定で特別公開されました(9月19日追記)
旧山崎家別邸の2階は、通常非公開なのですが、
9月2日(月)~8日(日)に行われた旧山崎家別邸ライトアップイベントの期間中、期間限定で特別公開されていました。
ステンドグラスから差し込む色鮮やかな光に照らされた階段を登っていきます。
花と鳥がデザインされた、とても美しいステンドグラスが間近で見ることができます。
階段を登り、右側にある廊下を進んでいくと
洋風なデザインの寝室がありました。
二台のベッドとコンパクトな鏡台が置かれています。
寝室の奥の窓辺は小さな書斎エリアになっています。テーブルと椅子が2脚置かれていました。
扉の向こう側はバルコニーになっており、庭園が望めます。
そして、書斎の隣にもう一部屋。
丸太の床柱が立派な床の間のある、六畳の和室がありました。
古き良き日本家屋、そして大正モダンな雰囲気の中、時がゆっくりと流れていく感じがしました。
和室の縁側に座り庭園を眺めているとついつい時間を忘れてしまいます。
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旧山崎家別邸庭園
保岡勝也は和風庭園に造詣が深く、別邸の庭園設計でもその知識を存分に発揮しています。
なだらかな高低差のある庭が広がり、アクセントとなる石灯籠や四季のうつろいを感じさせる季節の花が配植されています。
また、京都仁和寺の我前庵を写したといわれる2畳半の茶室も配置されています。
旧山崎家別邸へのアクセス、開館時間など
開館時間 【4月~9月】 9:30~18:30 【10~翌年3月】 9:30~17:30
休館日 第1・3水曜日 年末年始(12/29~1/1)
入場料 【一般】100円 【大学生・高校生】50円 【中学生以下】無料
アクセス 本川越駅または川越駅から東武バス「蔵のまち経由」に乗車
「仲町」停留所下車 徒歩5分