ある雨の日の昼下がり。
大正浪漫夢通りの重厚感ある銅板建築の建物の前に行列ができていました。
そう、この日は2023年6月30日(金)。昭和10年創業『味の店 いせや』の最後の営業日なのです。
愛され続けた「味の店」、『いせや』最後の日
『味の店 いせや』は、手作り和菓子が並ぶ和菓子の老舗。
どの和菓子も昔ながらの素朴な味わいでとっても美味しいんです。
筆者の一番のお気に入りは「からみ餅」
やわらかいお餅にたっぷりの大根おろし。『いせや』さんに訪れるときは必ず購入していた逸品です。
最後に「からみ餅」をもう一度食べたいと思っていたのですが、ここ数日は閉店を知った地元の方たちで毎日のように行列ができていました。
行列に並ぶのを躊躇しているうちに最終営業日となってしまい、意を決して行列の最後尾に並びました。
見た感じ、並んでいるのは10人ほどでしょうか。
「お団子や草餅、いちご大福・・・どれも美味しかったな、かき氷は食べたことなかったな」などと考えながら並んでいるうちにお店の前まで列が進みました。
すると、なんということでしょう!
お店に入る通路にも行列がぎっしり、30人近くの行列がつづいていました。
お店の中にまだ「からみ餅」が数個あるのを確認しました。
「どうか、売り切れませんように・・・」
行列の折り返し地点となっている通路の奥には「大正浪漫夢通り商店振興組合」から送られた綺麗なお花が飾られていました。
「いせや様 長い間ありがとうございました」の文字に目頭が熱くなります。
「小さなお子さんからお手紙が届いたのよ」というお店の方の声。
「今までどうもありがとうございました。寂しくなります」といったお客様の声。
今日は朝8時半から行列が絶えないとの声も。
本当に愛されていたお店だったんだなぁ。。。
行列に並ぶこと1時間ほど、お店の入り口が近づいてきました。
お店の中の状況をのぞいてみると、「からみ餅」が残り1つ。
「お願い!残ってて!」という願いもむなしく、何人か前に並んでいた方に買われていくのが見えました。
あ~る晴れた~昼下がり~♪ ドナドナのメロディが頭の中に流れました。
いつもはたくさんの和菓子が並ぶショーケースの中もほとんどの商品が売り切れていました。
もちもちやわらかく香ばしいお醤油の焼きだんごを購入。「今までありがとうございました」と伝え、店をあとにしました。
今まで本当にありがとうございました。そしてお疲れさまでした。
『いせや』さんの味、忘れません!!