【川越】神輿に辻札、ドーン・ド・ドンドン・・・太鼓を叩いて地区回り『芳地戸のふせぎ』は地域を守る魔除けの神事

毎年春分の日に笠幡の芳地戸地区で行われる『芳地戸(ほうじど)のふせぎ』は地域を守る年に一度の神事。

川越市の無形民俗文化財に指定されています。

今年(2023年)は、川越市立博物館が主催する野外博物館教室で「芳地戸のふせぎ」の見学会がありましたのでそちらに参加し「芳地戸のふせぎ」の見学に行ってきました。

目次

『芳地戸(ほうじど)のふせぎ』とは

芳地戸のふせぎ

「ふせぎ」は「防ぐ」を意味し、疫病や農作物の害虫などの悪い出来事が入ってこないようにする悪魔祓いの神事です。

『芳地戸(ほうじど)のふせぎ』は、笠幡の芳地戸地区で毎年春の彼岸の中日に行われています。

享保6年に疫病が蔓延したことから地区に入る病気を「防ぐ」行事として約300年にわたり伝承されています。

芳地戸のふせぎ

行事のためにつくられた歌や踊りもあるとのことでした。

午前中には尾崎神社の境内で神輿や辻札の準備

朝から午前中にかけては、芳地戸地区自治会の方々が尾崎神社の境内に集まり、行事で使用する神輿(みこし)や辻札(つじふだ)準備を進めます。

芳地戸のふせぎ
芳地戸のふせぎ

道具は毎年毎年新しく制作します。藁、榊、竹を使用して台座からつくる「神輿(みこし)」。竹の担ぎ棒はしめ縄でしっかり台座にくくられています。

芳地戸のふせぎ

篠竹の先にお札や輪飾りを挟み込んだ「辻札(つじふだ)」。辻札にはお札のついているものと輪締めがついているものの2種類があり、2本で1対となっています。

上の写真は昨年使用したもので、今年制作したものは神殿にしまわれているとのことでした。

芳地戸のふせぎ

藁を使って縄をつくる「藁なえ」の体験をさせていただくことができました。

午後は「地区回り」

お昼休憩をはさみ、午後からは「地区回り」が始まります。

芳地戸のふせぎ

自治会の方たちは300周年を記念して作成した揃いの半纏に身を包みます。神輿を担ぐ人や太鼓を叩く人のシルエットがデザインされていて粋です!

そしてなんと、自治会の方たちのご厚意により私たち見学会のメンバーにも半纏を貸してくださいました。早速袖を通します。

芳地戸のふせぎ

まずは神前にて「ふせぎ」を祈願します。

そして、太鼓、幟(のぼり)、辻札、切麻散米(きりぬきさんまい)、祓串(はらえぐし)、神輿、宮司、神社札と玉串の順番で列をつくります。先頭の太鼓は子供太鼓。この日のために一週間前から練習を重ねてきたとのことでした。

芳地戸のふせぎ

「ドン・ド・ドン・ドン・ドドド・カッ・カッ・ドドドン・カッ・カッ・ドドドン・カッ・カッ」と子供たちが叩く太鼓に合わせて神社を出発します。見学会のメンバーも列の最後尾につかせていただきました。

芳地戸のふせぎ
芳地戸のふせぎ

かつての「地区回り」では、一軒一軒の家の中に入っていましたが、家が増えたこと(と今のご時世)からここ数年は地区の巡回ルートを一回りしています。庭先に顔を出されて行列を出迎える地区の方が、神輿の台座におひねりを置くと、行列のそれぞれの役割の方が「家人を祓串で祓う→切麻散米を撒く→玉串を渡す→神社札を玄関付近に貼る」という一連の流れを行います。

芳地戸のふせぎ
芳地戸のふせぎ

また、地区を囲うように回る巡行ルート上で隣接地区との境(9か所)に辻札を立てます。辻札を結ぶラインが結界の役割を果たしているのでしょうか。

古くから芳地戸地区に伝わる伝統行事「芳地戸のふせぎ」

見学だけではなく参列までさせていただくことができ、貴重な体験をすることができました。

帰り際にしめ縄のお土産までいただくことができました。感謝感謝です。ありがとうございました。

『芳地戸(ほうじど)のふせぎ』 開催概要
【開催日】毎年春分の日
【開催場所】尾崎神社、芳地戸地区

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