川越から南極へ~氷の世界での気象探求~ 第66次南極地域観測隊員 臼田拓人さん

なんと川越から南極観測隊員が誕生しました。

第66次南極地域観測隊員 臼田拓人(うすだ たくと)さん。

臼田さんは以前からお世話になっているブーフーウープロジェクトのお仲間です。その臼田さんから南極地域観測隊委員の選考に通過されたことを伺ったのはたしか6月下旬だったでしょうか。

出発を間近に控えた臼田さんにインタビューさせていただきました。

目次

第66次南極地域観測隊員 臼田拓人さんにインタビュー

川越市在住の臼田さんは気象庁大気海洋部所属の職員さんです。

第66次南極地域観測隊員の越冬隊31名のうちの1人として今冬、オーストラリアから南極観測船「しらせ」に乗船し南極の地を目指します。

南極観測隊に志願されたきっかけを教えてください

南極の壮大な景色や大気光学現象、オーロラなどが見てみたいという憧れがあったこと、そして普通に生活していたら行くことのできない場所に行ってみたいという気持ちが強くなり南極観測隊に志願しました。

何回目のチャレンジだったのですか

入庁したときからずっと希望していました。今回で数年来の念願が叶いました。

選考通過の一報を受けたときどう思われましたか

びっくりしました。

はじめのうちは全然実感が湧きませんでしたが、とても嬉しかったです。

南極ではどのようなお仕事をされるのですか

気象隊員は交代で気象観測を行い、得られた観測データは各国の気象機関に送られて、日々の天気予報などに利用されています。

隊員はそれぞれ担当業務をもっており、私は日射放射観測や地上オゾン観測の主担当になっています。

地球が太陽や大気中から受け取るエネルギーと地球から地球外へ出ていくエネルギー収支の精密な観測を行っています。
得られたデータは気候変動の監視や地球温暖化の予測精度向上のための基礎データとして利用されます。

少人数で基地を維持していく必要があるため、除雪はもちろん他部門の業務にも積極的に関わりたいと思っています。

以前、テレビで気象隊員の方が大きな風船のようなものを飛ばしている映像を見たことがあるのですが、あれはなんですか

気象隊員が行っている高層気象観測という観測になります。

気球に観測装置をぶらさげて、1日2回上空約30kmまでの気圧、気温、湿度、風向・風速を観測しています。

オゾンを観測する観測装置も週1回程度放球していて、上空のオゾンの量の直接観測をしています。

オゾン層は有害な紫外線を吸収し、地上の生態系を保護していますが、南極上空では春になるとオゾンホールが発生するためオゾン濃度の動向を注視しています。

第66次南極地域観測隊全体での目玉となる観測は何になりますか

昭和基地より約1000km内陸にあるドームふじ基地では、100万年前のアイスコアの本格掘削が開始されます。

南極は雪が解けずに圧縮されて氷になっていくため、氷の中には昔の空気が閉じ込められていて、この空気を分析することによって過去の気候などを復元することができます。

また、東南極最大級の氷河で融解が懸念されているトッテン氷河周辺では集中観測が実施されます。

南極観測隊としての意気込みをお聞かせください

60年以上続いてきた気象観測を精度良く維持できるよう頑張りたいです。

大変なこともいろいろあると思いますが、メンバーと協力しながら乗り越えていけたらと思っています。

南極に行けるのは多くの方々の支えのおかげです。感謝の気持ちを忘れず、その場でしか見られないもの、体験できないことを存分に楽しみたいと思います。

臼田さんはイベント担当にも任命されており、節分や七夕など月に一回程度のイベント企画も考えているそうです。

第66次南極地域観測隊が南極に到着するのが今年(2024年)の年末。その頃の南極の季節は夏(とはいえ、気温は氷点下)。
比較的過ごしやすい夏を過ぎるとブリザードなどの過酷な環境も待ち受けているに違いありません。

川越の地にて旅のご無事とご活躍をお祈り申し上げます。

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